蘇ったあの頃の味【パワー軒】稀少な二天一流の剛剣その1
中学の頃に友人のT君から借りた「空手バカ一代」という漫画には、かなり影響を受けました。
T君は奇行が多く少しまわりからは浮いている存在でしたが、自分とは妙に気が合うのでよく遊んでいました。
T君は芸術的センスが有り、ちょっと前の世代のカルチャーなどもT君経由で知識を得ていました。
その一つが梶原一騎原作、つのだじろう作画の極真空手の創始者マス大山の実録物風の漫画空手バカ一代でした。
物語は戦後の混乱期から始まるのですが、進駐軍による無法地帯となっているところへ、特攻隊帰りのマス大山が襲われている女性を助けるというような場面から話は進んで行きます。
この陰鬱とした戦後の空気感を表現した絵による、梶原一騎とつのだじろうが創りだす世界感にすっかり心酔してしまいます。
そしてストーリーの中でマス大山が心の師と仰ぐ、剣豪宮本武蔵も同時にガッと身体の中に入ってきて、吉川英治作の小説「宮本武蔵」も何度も何度も読み返していました。
宮本武蔵は両手に刀を持つ二刀流の二天一流という兵法の開祖で生涯60余度の勝負を行い、その全てに勝利したと伝えられています。
有名な所では巌流島での佐々木小次郎との勝負ですが、昨年旅行中に山口県下関の巌流島(船島)の傍を通りテンションが上がりました。
二刀流というと最近ではメジャーリーガーの大谷翔平選手のイメージですが、自分にとっては宮本武蔵だったのです。
そんな武蔵ですが、二刀流というのは両手にそれぞれ刀を持つのでかなり力がいりますので、普通は中々自由に扱えないものらしいです。
平均身長が160cm未満だったこの時代に180cmくらいあったと記されており、ものすごい剛腕だったからこその剣法だったのでしょう。
晩年は芸術家としての顔も有名です。
多感な中学時代から時は経ち、一人暮らしをしていた場所から程近い立川市にタイトルの「パワー軒」というラーメン屋が出来ました。
当時は、今よりもこってりなラーメンを求めていたので、名前に導かれ食べに行ってみました。想像通りというか想像以上というか、こってり度ヘビー級のとんこつラーメンでした。
その味にすっかりハマり結構通ったのですが、他県への引っ越しを境にして訪れることはありませんでした。
それから更に20年数年の時間が経ち東京に戻ってきましたので、久々に行ってみたいなと当時の場所へ向かいました。しかし、もうその場所には店舗はありません。
時間もだいぶ経過していますので閉店したと思い、すっかり意識から外れていました。
後日、たまたま同じ店名の看板を元の店舗から数キロ離れた場所で見かけて、同じパワー軒なのかずっと気になっていましたところ、とうとうその機会は訪れました。
謎を解明すべく20年ぶりに食べに行くこととなったのです。
蘇ったあの頃の味【パワー軒】稀少な二天一流の剛剣その2につづく。